今回の記事は、「インセプション」という映画について!
ShozzaTrip映画紹介第二弾!
自他共に認める映画好きの僕の中で、No.2〜No.5に入る映画「インセプション」を紹介します。No.1は不動の「クラウドアトラス」です。
このタイミングで紹介する理由は、今、インセプションがIMAXで再上映されているから。インセプションが誇る圧巻の映像美と、最高のサウンドを楽しむには、IMAXしかありません。こんなに嬉しいことはない!
インセプションは、かなり知名度も評価も高い映画なので、見たことあると言う人も、聞いたことがあると言う人も多いかと思います。
ただ、この映画クラウドアトラスに引けを取らないほど、複雑で難しい。1回で理解するのは困難です。もしも、「1回見たことあるけど、良くわからなかった」と言う人は、是非この記事を読んで、理解した上でもう一度見て欲しい。
クラウドアトラス同様、内容を知った上で見ても十分に楽しめる映画です。僕は、多分リアルに20回は見ています。笑
この記事では、インセプションの解説をしていきます!
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INDEX
映画「インセプション」とは
映画「インセプション」は、クリストファー・ノーランが、監督・脚本・制作を行った2010年の映画。
レオナルド・ディカプリオを主演に、我らが渡辺謙、トム・ハーディー、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、マリオン・コティヤール、エレン・ペイジと言う最高のキャスト、、
監督のクリストファー・ノーランは僕が世界で一番好きな監督。彼の映画は全て面白い、、僕の好きな映画ランキングベスト30におそらく、彼のほとんどの映画がランクインするはずです。笑
- バットマン三部作(ビギンズ、ダークナイト、ダークナイトライジング)
- インターステラー
- メメント
- プレステージ
- ダンケルク
- インソムニア
有名な作品が多いので、知っているものも多いかと思います。そして、この全てが本当に面白い、、最新作の「TENET(テネット)」の解説記事も書いています!
これほどまで、ほとんどの作品の評価が高い監督も珍しいです。その中で、クリストファーノーランの一番の代表作とも言われるのが、今回紹介する「インセプション」なんです!
CGを嫌う同監督は、こんなに破天荒な映画を、ほとんど実写で撮ったんです、、「え、これも実写なの?」と言うシーンが盛り沢山、、ブルーレイを買うと、特典映像がついてきて、そこで撮影シーンを見ることができるのでオススメ。本当に驚きますよ、、
インセプションのオープニングの内容(ネタバレなし)
まずはインセプションのオープニング(設定)をザックリと紹介します。最初は何の解説もなく、急に始まるので、初期設定を知らずに見ると、本当に「?」の連続です。
わかりやすく、要点のみを箇条書きし、後半で少し解説を入れたいと思います。
- 特殊な装置を使い、人をコードで繋げて、相手の夢に侵入することができる設定
- 夢に侵入し、相手のアイディア(情報)を盗むことができるため、産業スパイが横行している(ライバル会社の機密情報を抜き取る)
- コブ(ディカプリオ)は、この産業スパイを行っている(最初のシーンでは、渡辺謙の情報を抜こうとしています)
- そのため、夢の中で情報を守るトレーニングを行なっている人もいる(サイトー(渡辺謙)や、ロバート)
- 夢の中での情報を抜き取ることを「エクストラクション」と言い、情報を植え付けることを「インセプション」と呼ぶ
まずは、インセプションの簡単な設定を紹介しました。「インセプションはSF映画」と捉えられていますが、フィクションらしいところは、この設定のみ。
実際の内容は、アクション、いや、むしろヒューマンドラマです、、
この時代で言う「夢への侵入」は、いわゆる最新の犯罪。「オレオレ詐欺」のようなもの。そういう技術が開発されてしまい、それを行う産業スパイ(ディカプリオ)がいる訳です。
そこで、コブ(ディカプリオ)は、ある会社(コボル社)の依頼で、サイトー(渡辺謙)から情報を抜き取ろうとしているシーンから始まります。それが失敗に終わり、その手腕を買ったサイトーがコブを呼び出し、「インセプション(情報の植え付け)も可能か?」と持ちかけ、話が進みます。
コブはある理由(犯罪歴)から、故郷であるアメリカに帰ることができず、子供達に会えない。そこまで下調べをしていたサイトーは、「ライバル企業のトップに、インセプションをしてくれれば、コネで犯罪歴を消してやる」と。
「インセプションは不可能だ」というコブの相棒、アーサー(ジョセフ)を振り切り、コブは「可能だ」と言います。その理由は、既にコブはインセプションをしたことがあり、成功しているから、、
ここがこの映画の“裏の”ストーリーの機軸です。
ということで、サイトーの依頼を受け、インセプションをするためのメンバー集めを始めることになりました。
インセプションの仲間集め(まだネタバレなし)
コブ(レオナルド・ディカプリオ)
まずはコブ(レオナルド・ディカプリオ)。上述のように、夢に侵入してエクストラクションを行う犯罪者。犯罪歴のせいでアメリカに帰れないため、どうしてもサイトーの依頼(インセプション)を成功させたい。
アーサー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)
アーサー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は、コブの相棒で、一緒にエクストラクションを行なっている。今回のインセプションの仕事にも参加。
サイトー(渡辺謙)
サイトー(渡辺謙)は、今回のインセプションの依頼主。エネルギー関係企業のトップで、ライバル企業を潰したいと考えている。
そのライバル企業のトップであるモーリス・フィッシャーが亡くなりそうであることを利用し、次期社長となる息子のロバート・フィッシャーにインセプションを行いたい。
アリアドネ(エレン・ペイジ)
アリアドネ(エレン・ペイジ)は、パリの学生で、夢の設計を担当する。
夢の設計というのは、イメージで言えば「動物の森」のようにオンライン上(夢の中)で、自分で街を作ること。設計者が作った町(夢の中)に、みんなで眠って入るんです。
目的(インセプション)達成のためには、複雑な設計が必要。あまりにもお粗末すぎると、相手に「この夢おかしいぞ?」と、感づかれてしまう。
ちなみに、アリアドネを紹介してくれたパリの大学教授マイルスは、コブの亡き妻、モル(後半で紹介)の実の父です。
イームス(トム・ハーディ)
イームス(トム・ハーディ)は、情報収集役かつ、変装のプロ。夢の中で、ロバートの会社の重役であるピーター・ブラウニングに化けて、ロバートを騙す。
正確には、夢の中では変装をする必要はなく、「こいつはピーターだ」と思わせる事で、変装なしでも、ロバートにはピーターに見えてしまう。
ユスフ(ディリープ・ラオ)
ユスフ(ディリープ・ラオ)は、調剤師。難しいインセプションを行うためには、夢の中の夢、その中の更に夢、更に夢、、と深い層まで入る必要があり、そうすると夢が不安定になりやすい(目覚めてしまったり)。
そこで、腕利きの調剤師が必要。
その他の重要なキャラクター
ロバート・フィッシャー(キリアン・マーフィー)
ロバート・フィッシャー(キリアン・マーフィー)は、今回のインセプションのターゲット。サイトーのライバル会社の次期社長。
無口で堅物の父(現社長)との確執で、自分に自信がない。そこをインセプションに利用されてしまう。
ロバートの会社の重役であるピーター・ブラウニングは、上述のようにイームスにばけれらて、悪役にされてしまう(ロバートの誘拐事件の黒幕にされる)。
モル(マリオン・コティヤール)
モル(マリオン・コティヤール)は、実はこの映画で一番と言って良いほど重要なキャラクター。
彼女はコブの元妻で、現在は亡くなっている。その亡くなった理由が、この映画の重要なポイントになります。
映画「インセプション」には、2つのストーリーがある
インセプションが難しく感じてしまうのは、その設定だけでなく、映画の中に二つのストーリーがあるから。これまで話してきた「インセプションを行う」ストーリーと、もう一つが「コブの過去」のストーリー。
- インセプションを行うストーリー(主軸)
- コブの過去のストーリー(副軸)
もちろん、映画のメインは①のインセプションなのですが、実は②がとても重要で、この映画を面白くさせている。監督が言いたい多くのメッセージはここから感じ取れます。
②の具体的な内容は、コブの元妻であるモルが亡くなる原因になったストーリーと、コブがアメリカに帰れない理由についてです。涙なしには見れない。
ここからは、少しだけネタバレを含めて、内容を順に追っていきます。
ただし、丁寧にネタバレをしない(重要な点のみ)ので、しっかり内容を掴んでから見たいという人は、初回であっても、読み進めても平気です。
ネタバレはここまでにして、アマゾンで今すぐ見たい人は、ここ(↑)から。スマホ、パソコンで、登録なしですぐに見れます。100円です。
インセプションのストーリー解説(主軸のストーリー)
ここからは、インセプションの主軸のストーリーの解説を行います。夢の中の話は少しわかりにくいので、構造、設定を先に説明しておきます。
夢の中の構造
というところまでわかったかと思います。実は、この夢も複雑。3層目の夢まで潜ります。夢の中の夢の中の夢ということ。
なぜ、そんな深いところまで潜るかというと、深い層で植え付けないと、アイディアが浸透しないから(インセプションが成功しない)です。
浅い層でアイディアを植え付けても、「ん?なんだったんだ?夢か」くらいで終わってしまうイメージです。
この作戦のゴールはロバートに「会社を潰したい」と、自分の意思で思わせること。
誰かに「潰せ」と言われて「OK〜」なんてことはあり得ない。何かしらの理由を元に、自分の中でポジティブな理由から「会社を潰したい」と思わせることが目的です。
そのため、夢の一層目から、ロバートにそう思い込ませるための作戦が実行されていき、三層目で、それを定着させます。深い夢で定着させたアイディアは、夢から覚めた時(飛行機の中)、それだけが頭の中に残っていて、まるで自分で考えたように感じている。
夢の中で行動を共にした他のメンバーのことなんか覚えていない。少し記憶はあるけど、あくまでも夢のような感じ。
もう一つ、重要なのが、夢の中では時間が遅くなるということです。大体20倍くらいのよう。つまり、夢の中で1時間経っても、実際は3分しか経っていないことになる。第三層目では、20倍の20倍の20倍の時間が流れています。
「この20倍、時間が遅くなる」と言うのは、BGMにも伏線が隠されています。めちゃめちゃ面白い。これも特典映像で監督が述べています。
さらに、第三層目の更に奥に「虚無」と言う場所があります。虚無は第四層目と言う訳ではなく、少なくとも、四層よりも深いところにあります。ここが、映画内では説明が少なく、ややこしく感じる部分。
夢から覚める方法
夢から覚める方法は二つあります。
- 夢の中で死ぬ
- 寝ている相手を倒す(キック)
1つ目は夢の中で死ぬこと。最初のシーンで、アーサーがサイトーとモルに捕らえられた際、コブがアーサーを射殺し、夢から覚めさせてあげていました。
2つ目は、寝ている相手を倒し、起こす方法。これをキックと呼びます。キックをするタイミングは、寝ている相手に音楽を聞かせ、そろそろキックすると教えます。
しかし、ここで問題が。今回のインセプション作戦では、夢の三層まで行くために、強力な鎮静剤を使っているため、夢の中で死ぬと、虚無に落ちてしまう。これは、死を意味します。
具体的には、夢で死んだ際、戻るべき身体が鎮静剤で眠っているため、戻る場所を失い、精神だけが虚無を彷徨うことになります。(鎮静剤を使っていなければ、普通に戻れる)
虚無とは
では、虚無とは何か。作中であまり語られていないので、一番わかりにくい。
アーサーが虚無について「潜在意識以外存在しない形のない夢。過去に落ちたことがある人が何かを残していれば別だけど」と言っています。そこでは、落ちたことさえも忘れてしまい、精神崩壊に繋がるとされています。
そして、戻れるのは、鎮静剤が切れた時。今回使っているのは、超強力な鎮静剤で、いつ切れるかわからない。更に、夢の中では時間が何十倍にもなります。虚無は最低でも、4層以上の深さ。つまり、20×20×20×20倍以上の遅さ。これは、現実の1時間が18年になる計算です。
そして、虚無に行く方法は二つあります。
- 強力な鎮静剤を使った状態で、夢の中で死ぬ
- 深く深くまで、夢の中へ潜っていく(何層目なのかは不明)
一つ目については、説明しました。今回のインセプション作戦の中では、サイトーと、ロバートがこの死ぬというパターンで虚無に落ちます。
そして、二つ目。これは、1、2、3と夢の中の夢に入っていくのと同じように、深く深くまで潜ると、いつかたどり着くという方法。実際に、過去にコブとモルは、虚無にたどり着き、この虚無で50年滞在します。
今回のインセプション作戦でも、ロバートを助けるために、コブとアリアドネはこの方法で虚無へ下ります(虚無が4層目なのか、もっと深いところなのかは、言及されていません)。
この虚無から戻る方法も、同じく死ぬしかありません。コブとモルも、ここから出るために、列車に轢かれて死ぬ方法を選びます。アリアドネはロバートを連れて、ビルの上から飛び降りて戻ります。
「鎮静剤を使っているのに、虚無で死んでもいいの?」「虚無の向こう側行かない?」「キョムキョム?」と言うところについては、僕の中でもこの映画で唯一矛盾を感じているポイントです。そもそも虚無については、説明があまりされていないので、裏の設定があるんでしょう。
ストーリーの流れ解説
重要なキーポイントは以上で全て。最後に、簡単にストーリーを時系列でまとめておきます。ここからは、完全にネタバレです!でも読んでもOK!(何回言うねん)
インセプション作戦のストーリーは見たくないけど、モルの正体については知りたい!と言う人は、ここだけ読み飛ばして、一つ下の章へいってください!
- サイトーがロバートが乗る予定の飛行機を航空会社ごと買収し、その飛行機に全員で乗り込む
- 鎮静剤を飲ませ、全員で夢の中へ(第一層)
- 第一層は雨のロサンゼルス(夢の主ユスフが、ワインを飲み過ぎてトイレに行きたいため、雨)
- ロバートが夢を武装化していたため、護衛と戦闘になり、サイトーが死にかける
- ロバートを監禁し、重役のピーターも同じく監禁されているフリをする(イームスの演技)
- ユスフの運転の中、他の全員で第二層へ
- 第二層は、ホテルの中(アーサーの夢)。時間の流れが遅くなるため、サイトーは少し元気になる
- ここで、ロバートに「これは夢で、誰かがお前の情報を抜き取ろうとしている」と教える
- その黒幕がピーターだと思い込まさせられる(第一層の監禁時の情報を思い出しながら)。ピーターが遺書を破棄しようとしていると。
- その本当の遺書の内容を確認するため(というテイで、本当はインセプションしたい)に、ロバートも一緒に第三層へ
- 第三層は、雪の病院(イームスの夢)。サイトーまたまた少し元気に
- モルに襲われ、ロバートが死んでしまう(虚無に落ちる)
- アリアドネの提案で、みんなで虚無へ行って、ロバートを生き返らせようと。(おそらく単純に電気ショックをして蘇生しただけでは、虚無に行った意識が戻って来ないので、意識を戻す目的で、虚無で死なないといけないのだと思われる)
- ロバートを生き返らせるために、コブとアリアドネの二人で虚無へ
- 虚無でモルを射殺し、ロバートとアリアドネはビルから飛び降りる。同時に、第三層でイームスが電気ショックで蘇生(コブはサイトーのために残る)
- 第三層でロバートは遺書を見つけ、「自分の道を進む」ことを決意(インセプション成功)
- 第三層で死んだサイトーは虚無に落ちてくる。コブはようやく虚無でサイトーを見つけ、現実に戻る提案をする
- 全員、無事に現実に戻ることができ、サイトーはコブの犯罪歴を消去
- コブは無事にアメリカに入国し、子供達と再会
コブの過去。モルの正体と、その悲劇について
上記の内容では、モルの存在について全く触れずに紹介しましたが、上述したようにモルの存在、そしてコブとの間で何が起きたのかが、この映画でとても重要なポイントです。
もちろん、それが、主軸ストーリーの「インセプションが可能だ」という裏付けと、虚無の存在、虚無からの帰り方など、重要な伏線であることは間違いないのですが、コブとモルのやり取りの中にこそ、監督が伝えたいメッセージが沢山あります。
モルの存在
モルはコブの元妻で、現在は亡くなってしまっています。まず、モルが最初に出てくるのは、コブがアリアドネを初めて夢に連れて行った時。
アリアドネが現実のパリの橋を再現した時に、コブが「現実にあるものを作ると夢と現実の違いが分からなくなるからダメだ!」と言った矢先、モルが現れてアリアドネを包丁で刺します。
モルが現れた理由は、ここにコブとモルが来たことがあって、知っている場所だったからです。コブが、過去のモルを思い出した瞬間、アリアドネの夢の中に、記憶のモルが投影されて出てきてしまったんです。コブはそこまで、教えませんでしたが。
アリアドネに夢の設計を任せるのも、コブが夢の主にならないのも、アリアドネをの設計をコブが頑なに見ないようにするのも、全ては夢の中にモルを出さないためです。モルが出てくると、邪魔をするから。
コブ自身が、モルが邪魔をする理由は「コブを現実に戻したくないから」だと言っています。夢の中に一緒にいたいから。でも、これは「モルの願い」ではなく、実際は「コブの頭の中にいるモルの願い」。つまり、コブの幻想です。でも、罪の意識から、そこから逃れられていない。そう思い混んでしまっているんです。
そして、コブは自分の夢の中に幻想のモルを閉じ込めています。それは、夢の中であれば、亡くなったモルと会えるから。だから、コブにとって、モルに会える夢の中こそが現実です。
さらに言えば、モルを死なせてしまった罪悪感から、「自分だけ現実にいるのは彼女に申し訳ない、僕もずっとモルと夢にいるから」と、償おうと言う気持ちもあります。もちろん、夢の中のモルはコブの幻想でしかなく、無意味だとはわかっていながらです。
モルの死因
モルの死因は飛び降り自殺でした。自殺をした理由は、「この世界は本当の世界ではない」と思い込んでしまったから。
実は、コブとモルは夢の世界で一緒に生活をしていて、夢と現実を行き来していた。そのうちに、モルは現実と夢の違いが分からなくなっていきます。
なので、「現実に戻らないといけない」と。そのためには「死ぬしかない(夢から覚める)」と。「本当の子供達を迎えに行くんだ」と。
一緒に死んでくれないコブを説得するため、モルは一計を案じます。「夫(コブ)に殺されそう。もしも、私が死んだら、犯人は夫」という遺書を弁護士に残し、コブに一緒に死のうとお願いします。
ここが現実だと知るコブは必死に止めます。でも、モル自信もここが現実ではないと、思い込んでいるんです。状況はお互いに同じです。こんなに悲しいことはない。
結局、モルは自殺してしまい、コブは妻殺しの犯罪者に。そのために、アメリカに帰れない身になっている。
モルが「ここは現実ではない」と思い込んでしまった本当の原因
ここが、この映画の核心に迫るところです。
実は、モルが「この世界は現実ではない」と思い込んでしまったのには、原因がありました。その原因こそ、コブにあります。
モルとコブは、二人で夢の中に潜り込み、夢の夢、さらに夢の夢、と深くまで潜り虚無に到達。虚無で50年間も一緒に生活をしていました。二人にとって、そこが現実になっていったんです。
何でも、思い通りに創造できる虚無での生活が楽しくて、愛すべき人と一緒にいれる時間が幸せで、ここから戻りたくない、とモルは考えてしまった。
そこで、コブはモルにインセプションをすることを決めます(もしくは、意図せず、結果的にしてしまった)。インセプションする内容は「この世界は現実ではない」です。
モルが現実を忘れるために、金庫の中にトーテム(現実か夢かを判断するためのもの)を止めたまま(現実)入れておいたのですが、それを見つけたコブは、トーテムを回したまま(「夢である」=「現実じゃない」を暗示)金庫を閉めます。
そして「この世界は現実ではない、戻るためには死ぬしかない」を告げた上で、一緒に列車に轢かれて死ぬ(現実に戻る)。
ようやく現実に戻ってきたモルですが、コブに植え付けられた「現実ではない」「死ぬしかない」という小さなアイディアが、モルの頭の中を埋め尽くしていきます。その結果、自殺をしてしまう。それが、コブのモルに対する罪の思いに繋がっています。
目に見えているものが本物という幻想
映画「インセプション」の中には、沢山のメッセージが込められています。内容を理解して、もう一度見ると、何気ないセリフやシーンから気付くことが沢山ある。
中でも、コブがモルに「この世界は現実じゃない、子供を迎えに行こう」と言った際、モルが言った「私が正しかったら?」というセリフが、今回のIMAX視聴の時に一番グサっと刺さりました。
何が正しいって誰がわかるんだろう。正しさなんて、本当はないのかもしれない。
二人が列車に轢かれる時、「行き先を探しているけど、どこに辿り着くかわからない、でも恐れずに飛び込む」と、言っている。死ぬけど、死んだ先に本当に楽しい現実が待っているかなんてわかりません。
もちろん、トーテムで現実かどうかを見極めるというのが、この映画の設定の一つですが、それだって、夢の中では作り上げられた妄想かもしれない。「そう思いたい」という傲慢からきた幻想かもしれない。だって、好き勝手にビルを作り上げられる夢の世界なんだから。この世界には、そうした思い込みが沢山あるのかもしれない。常識だって。
インセプションをしてしまったコブも、されてしまったモルも、それぞれに異なる意見を持っていた。力を持って押し切れたコブは、相手を思い通りに動かすことになり、一歩引いてしまったモルは、被害者になってしまった。まるで、弱肉強食です。
常識や、法律なんて、ある一定の人の利益のために作られていることがほとんど。弱者は、それに気づきもせずに、それを常識(現実)だと思い込まされているのかも。
「どれが本当の現実かわからない」というのは、インセプションの最後のシーンでも物語られています。
無事にアメリカについたコブは、子供に再会し、幸せになりました。で、終わったように見えた最後のシーン。何気なく回したトーテムが止まりそうで、止まらない。
というところで、映画は終わります。真相は誰にもわかりません。
もちろん、止まったかもしれないし、止まらなかったかもしれない。では、止まらなかったとしたら、コブはまだ夢から覚めれてない(モルの幻想を忘れられていない)のかもしれない。
いや、そもそも最初から全て夢だったのかもしれない。インセプションなんて、なかったのかもしれない。
どれが、現実(真実、正義、常識)かなんて、誰にもわからないんです。
そもそも自分の意見なんてない、全部インセプション
インセプションされるって怖いな、、と思われるかもしれませんが、そもそも「自分の意見」というものは、幻想です。
今、あなたが持っている情報は全て、誰かの受け売り。誰かから教えられたものです。親だったり、友達だったり、先生だったり、インターネットだったり。
その中で自分で咀嚼しながら、考えをまとめて生み出された自分の意見こそが、インセプションされた状態です。まるで、自分で考えたように思い込んでいる状態。つまり、誰しもがインセプションされているんです。
「これは自分で考えついた」なんていうのは傲慢です。誰しもが、周りの影響を受けながら、日々アイディア(考え)を変えながら動いています。それを知ることが重要。周りに助けられているということを。色々な人からアイディアをインセプションされて、自分をアップデートしていくことが成長です。
さらに言えば、自分の意見もどんどん発信して、周りをインセプションしていかないと、イノベーションは生まれません。
まとめ
ということで、映画「インセプション」についてでした!
前回の「クラウドアトラス」紹介記事に続き、とんでもなく長文になってしまいました、、笑
それだけ、面白いってことです!面白さが十分に伝わったと思います。凄いのが、こんなにゴリゴリSFのトンデモ映像美の映画なのに、ほとんどのシーンがCG無しで撮られたってところです。
上記写真の、ホテルの中で重力が変わりまくるシーンもなんと、実写です。巨大なクルクル回る装置の中にホテルの廊下や部屋を作って、その中に実際に役者を入れて、回しながら撮ったという、、笑
普通に死者が出ます。笑
こうした、実際の撮影風景は、ブルーレイを買った時の特典でしか見ることができないので、何回も見ることを前提に購入をオススメします!
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See you!
Always think easy, go easy.