
今回の記事は、エルサレムと3つの宗教の歴史について!
アルメニア、ジョージア、トルコ周遊を終え、イスラエル周遊中。
イスラエルと言えば、エルサレム。歴史、都市伝説好きの僕にとって、絶対に訪れてみたかった場所。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地が至るところに点在しています。
しかし、何でこんな事が起きているのでしょうか?全く異なって見える3つの宗教の聖地が、同じ場所に密集しているのは、不可思議に思えます。
その理由は、この3つの宗教の成り立ちを知ると、良くわかります。
ということで、この記事ではエルサレムと3つの宗教の歴史について紹介します!
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INDEX
エルサレムとは

エルサレムは、イスラエルの都市で、世界最古の都市の一つ。イスラエルはエルサレムを首都と主張していますが、国際的には認められておらず、テルアビブを首都と認識しています。
国際社会がエルサレムを首都と承認しない理由は、その都市の特殊性ゆえ。エルサレムには、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地があり、何千年もの間、エルサレムをめぐり紛争を続けてきた地。
そこをユダヤ人の国であるイスラエルの首都とみなすと、新たな火種になりかねないためです。


とても、良い質問ですね!実は、この3つの宗教は似ている。むしろ、同じ宗教から派生した仲間と言う事もできるんです!
これを説明すると、長ーくなるので、かなり端折って説明します!(エルサレムを知る上で必要不可欠な知識ですよ!)
ユダヤ教
ユダヤ教の誕生

ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の中で、最も古い宗教がユダヤ教。キリスト教とイスラム教は、ユダヤ教から派生したと言う事も出来ます。
今から3000年以上前、エルサレム周辺には、沢山の民族が住んでいました。
その中で、アブラハムという初老男性が神からお告げを受け、神の指定した「サラム」という土地に祭壇を作り、この地を治めることになります。
このアブラハムの子孫こそがユダヤ人です。つまり、ユダヤ人にとって、アブラハムこそが神(ヤハウェ)と契約した唯一の存在です。
ちなみに、神がアブラハムに与えた“サラム”という地ということで、「準備されたサラム」という意味の「イルエ・サラム」が、「エルサレム」の語源であると考えられているそうです。
その後、ユダヤ人はエジプトの奴隷となりますが、モーセによってパレスチナの地へ帰還。ダビデ王が、ユダヤ人部族を一つにまとめ、ユダヤ王国を作ります。そして、次代のソロモン王が、エルサレム神殿を建設。
その後、ユダヤ王国は、分裂やバビロニアによる捕囚などの苦難を経験し、自らのアイデンティティを保つために、ユダヤ教を作り上げます。
ユダヤ教におけるエルサレム

ユダヤ教が成熟し、ユダヤ王国の元、繁栄を続けていた紀元前63年。
地中海地域の支配を進めていたローマ帝国が、エルサレム、パレスチナの地にやってきます。そして、エルサレムはローマ帝国の支配下に。ユダヤ人は、ローマ帝国のもとで暮らすことになります。
それから100年後の紀元66年、ユダヤ教の過激派が反乱を起こす。これに怒ったローマ帝国は、ユダヤ人の誇りであったエルサレム神殿を城壁の一部を残し全焼します。

キリスト教
キリスト教の誕生

紀元前1世紀頃のエルサレム。
ユダヤ人の暮らすこの町で、マリアというユダヤ人女性から、イエスという名前の子供が生まれます。マリアは処女のまま、イエスを出産しました。

イエスは腐敗したユダヤ教のトップ層を非難し、デモ活動を行います。一方で、病気を治すなどの奇跡を起こし、多くのユダヤ人の中から「救世主」と呼ばれるようになる。
ユダヤ教の経典の中では、いつか「メシア」と呼ばれる救世主が現れることが書かれています。「イエスこそ、メシアだ」という風潮が広がっていました。
それを良く思わないユダヤ教のトップ層が、イエスに死刑宣告をし、十字架刑に処します。イエスの死後、彼の弟子達がイエスの教えを伝え、キリスト教が誕生します。
ここで重要なのは、キリスト教にとっても、アブラハムや、モーセなどについて書かれたユダヤ教の聖典は、聖書として扱われている事。これをキリスト教徒は「“旧”約聖書」と呼びます。
それとは別に、ユダヤ教にはないキリスト教独自の教えを、「“新”約聖書」として、布教しました。
日本ではイエスのことを「キリスト」と呼びがちですが、少し語弊があります。「イエス」か、「イエス・キリスト」が正しい呼び方です。
イエスは人の名前であるのに対し、キリストはヘブライ語(ユダヤ人の言葉)で「救世主」と言う意味。つまり、「イエス・キリスト」は、「救世主であるキリスト」と言う意味。
「キリスト」と呼ぶと、それは「救世主」となってしまうので、どの宗教の、どの救世主のことなのか、わかりません。
キリスト教におけるエルサレム

イエスが生まれ、育ち、亡くなった場所こそが、パレスチナやエルサレム。
この地には、イエスの生まれた場所、聖母マリアの生まれた場所、イエスが歩いた道や最後の晩を過ごした場所、処刑された場所、墓などが点在しています。

イスラム教
イスラム教の誕生

紀元570年頃、現在のサウジアラビアにあるメッカのお金持ちの家に、ムハンマドという子供が生まれます。彼は普通に結婚し、子供を作り、商人として働いていました。
ムハンマドは、40歳の時、ふと頭を何かがよぎり、メッカ付近の洞窟で瞑想にふける。そこに、天使がやってきて、自分が預言者であることを告げられます。
その後、ムハンマドは自分の教えを周囲に伝え始め、イスラム教が誕生します。
イスラム教におけるエルサレム

ムハンマドの教えは、一部の者を除き、当初は中々受け入れられず、迫害されていました。その中で、妻も失くしてしまう。
そこに、天使が再びやってきて、ムハンマドをエルサレムへと飛ばします。
そこで、ムハンマドは天に昇り、アブラハムやモーセ、イエスなどの他の預言者たちと会い、さらに神(ユダヤ教のヤハウェ、キリスト教のゴッド、イスラム教のアッラー)にも会う事ができました。
ムハンマドはアッラーから更なる教えを受け、それを元にイスラム共同体を形成。これが、徐々に広がり、アラビア半島全体、そして638年にはエルサレムをも支配下に収めます。

3宗教の特徴まとめ

これらの3宗教は、似ているところが多い。むしろ、「実態は同じである」という主張している学者も多いんだとか。
似ているところ、異なっているところを以下、簡単にまとめておきます。
3宗教とも “同じ” 神を信仰している

3宗教とも、絶対神(唯一無二の神)を信仰しています。これを、ユダヤ教ではヤハウェ、キリスト教ではゴッド、イスラム教ではアッラーと呼んでいる。
つまり、呼び名が違うだけで、同じ神様という事なんです!
3宗教とも預言者がいる

3つの宗教は、どれも絶対神を信仰している。しかし、この神様の言葉を受け取る人が必要です。神様の言葉を受け取り、伝える人のことを「預言者」と言います。
そして、3宗教とも、この預言者を持っている。

ユダヤ教の預言者
- アブラハム
- モーセ
ユダヤ教の預言者は、旧約聖書には沢山出てくるのですが、主だったところは上記の二人。ユダヤ人の祖であるアブラハムと、エジプトからの脱出を率いた英雄モーセ。
イエスやムハンマドを含め、「これ以降に出てくる預言者はいない」というのが、ユダヤ教の考えです。
キリスト教の預言者
- アブラハム
- モーセ
- イエス
次にキリスト教の預言者。
イエスの事を「神」として捉える場合もあるのですが、ここでは、あくまでも神の言葉を伝える「預言者」とします(そう捉えている場合が多い)。
そして、面白いのが、アブラハムやモーセも預言者として認めていること。
ユダヤ教の聖典である旧約聖書は、キリスト教にとっても聖書の一つであることは説明しました。そのため、そこに出てくる二人の預言者も、もちろん預言者として認めています。
一方で、イエスの後に出て来るムハンマドの事は、預言者として認めていません。ユダヤ教のイエスに対する考え方と一緒ですね。
イスラム教の預言者
- アブラハム
- モーセ
- イエス
- ムハンマド
最後にイスラム教の預言者。これは、意外に思った方も多いかもしれません。
イスラム教においては、ムハンマドに加えて、アブラハムもモーセも、イエスでさえも、預言者として認識しているんです。これにノアを加えた、「五大預言者」としています。
一方、この五人の中で一番最後に出てくるムハンマドを、最高で最後の預言者として位置付けています。
つまり、この後に出て来る預言者はいないと。ユダヤ教がイエスとムハンマドを、キリスト教がムハンマドを認めないのと同じ構図です。

数十年から数百年後に、新しい預言者の元に新しい宗教が生まれて、同じ構図を辿るのでしょうか。歴史は繰り返します。
ユダヤ教 | キリスト教 | イスラム教 | |
誕生 | 紀元前5世紀 | 1世紀 | 7世紀 |
絶対神の名称 | ヤハウェ(YHVH) | ゴッド | アッラー |
預言者 | アブラハム、モーセ | アブラハム、モーセ、イエス | アブラハム、モーセ、イエス、ムハンマド、(ノア) |
聖書 | 旧約聖書 | 旧約聖書、新約聖書 | コーラン |
まとめ

ということで、エルサレムと3つの宗教の歴史についてでした!
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教。知っているようで、意外と知らないことの多い3つの宗教。意外な繋がりが沢山あるんです。
これらを知っていると、何故エルサレムがそこまで大事なのかがよくわかる。それがわかると、イスラエル観光はもちろん、イスラエルを取り巻くニュースも違った視点から見えるようになってきます。

次の記事では、エルサレム観光のまとめについて紹介します!
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- 安息日(シャバッド)について
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